文字狂い

オタクにもサブカルにもなににもなれずに死ぬ

『私の男』について

私の男の、エロい部分だけ読んでいる。バスの中で。高校時代に何度も読んだことがあり、オチも登場人物もだいたい覚えている。それで充分。だけど、たまにエロい部分だけ正確に思い出したくなって、今みたいに召喚する。

なぜ人類は子作りするのかと言えば、飢えているからと誰かが言っていたが、それを信じているし、私の男にわたしが惹かれるのはそれについて書いているからだ。愛欲の正体を近親相姦を通して書いている。近親相姦はわかりやすくするためのモチーフで、こんなことしなくてもわかるにはわかる。何故なら、こんなぐずぐずな気分でずぶずぶに溺れたい、と高校時代なんども読んでいたから。

愛欲は、知ってはならない秘密で、でも結構平気でテレビドラマになるのが不思議だし、なぜあれを見てみんな他人事でいられるのか。私の男は映画化されたが、二次創作になったこともあって、やっぱりフィルターがかかっていた。そう思うと、みんなやばいものについてはリミッターが強くかかる才能があるらしい。

女の子小説を書くわたしの一番大好きな小説家である桜庭一樹が、そんな秘密の花園、アダムとイブの林檎を教えてくれたのが、すごくうれしいことだよなあ、と思う。わたしだったら。墓場まで誰にも教えたくない直観を、野晒しにした。桜庭一樹にとっては、書くことや孤独であることが一番大事なのだろうから、その代わり愛を晒したとわたしは思う。

幸運なことに、わたしは桜庭一樹という人間には興味がない。でもわたしの神様です。電車ですれ違ったら他人だし、たまにおもしろくないなあとも思うけど、わたしにとってはこの人を崇めることでわたしを存在させていけるものだから、何があっても買いますし、親の形見売ることも厭わないです。