文字狂い

オタクにもサブカルにもなににもなれずに死ぬ

ゆうぴ SS

「ごめん、おれさ、鍋しか作れないんだよね」


優斗はそういって鍋に固形のスープのもとを入れ、白菜ともやしと豆腐とえのきを大量に投入した。今日は奮発して薄切り豚肉も大量に用意したらしい。寒くてイライラしている私はとにかくたんぱく質が欲しくて欲しくて仕方なかったので願ったり叶ったり、でもポン酢で食べるらしい。ごまだれが食べたいんだけどなあ。
暖房があんまり効いてない。頼みは鍋の温度だけ。寒い。はやく食べたい。私は二つのお茶碗にごはんをよそう。炊きたてのご飯は熱すぎて食べられない。そこで優斗が


「好きなだけ食べてね」


と言うから泣ける。最後にマロニーを入れて、なんの鍋だろうか、水炊きだろうか、水炊きが完成する。冷蔵庫からポン酢を取り出すと、残り少ない。


「あれ、優斗、ポン酢ないよ~」
「あ、ごめん。全部つかって。僕はそのまま食べる」


そういうの、一番困るなあ。薄めてでも二人でわけたいのに。
優斗が鍋をテーブルに置く。箸と器を用意した。早速鍋に箸を入れると


「いただきます、は?」


と優斗が真剣に叱る。こういうとこ古風なんだよなあ。こっちは腹が減ってるんだよ、と思いながら


「いただきます、」
「はーいめしあがれ」


その鍋は、やたら熱くて、そしてとてもお腹が空いていたので食事は一瞬で終わった。その後なんかテレビを観たけどそれどころじゃなかったので内容は覚えてない。優斗がやたら私の肌に噛みつくがごとくキスマークをつけようとするも、私の肌は強靭なためなかなかつかない。こんな時、白くて薄い肌であればよかったのになあと思う。月の光だけをたよりに互いを見つめていくのだが、優斗は最初媚びたような眼で挑発してきた。しかし私がくたびれたせいかぽかぽかしてきたせいか頭がぼんやりしてきたので優斗が流れを作ってくれた。優斗は最後に私を抱き締めた。

明かりをつけて反省会をする。特にない。わたしが途中でバイタリティを失ったことについて優斗は言及しなかった。優しいなあ、と思った。ついうたたねしてると、やろうと思っていたのに鍋や食器が片付けられてショックだった。

明日からツアーらしい。駅まで送ってもらい、帰宅する。いつかは私が優斗に料理を毎日振る舞うのだ。わたしも明日から頑張ろうと。何を頑張るかって……優斗を思い続けることかな!